涼    

しくなったら会いたいね、が口癖になっています。
小林 ウラン 2022.08.29
読者限定

この時期になると、実家で過ごした夏の終わりの夜を思い出す。窓の向こうからは秋の虫たちの声がしていて、コンポから井上陽水さんの「少年時代」がよく流れていた。わたしはリビングで宿題をしながら、キッチンに立つ母を眺めながらごはんを待っていた。風が流れて、虫の声と、もみの木に吊るしてある風鈴の音と歌と。

なぜかこの光景が鮮明に残っていて、涼しい風を感じると温度まで思い出せる。のちにこのコンポはわたしの部屋にくることになり、勉強に使いラジオを聞いて実家を出るまで一緒に過ごしていたな。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1540文字あります。

すでに登録された方はこちら